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戦略的なリスク対策とは

2022/06/30

今回は、リスクに対する対策を考えてみます。

リスク対策には、事前予防と事後対策の2つがあります。

可能な限り事前予防を行い、リスクが顕在化しないようにすることがプロジェクトマネジメントで重要です。

PMBOKによるとマイナスリスク(※リスクには、プロジェクトに悪影響を及ぼすマイナスリスクと良い影響を与えるプラスリスクがあります)の対策には、4つの戦略があります。

PMBOKのリスク対策4つの戦略

  1. 回避
  2. 軽減
  3. 転嫁
  4. 受容

順に説明します。

回避

回避は、リスクを発生しないようにする対策です。

例えば、新製品を採用する計画で、事例が少なく導入後に致命的な不具合が発覚するというリスクがあった場合、その対策として、新製品は採用せずに、代替製品を使うというのが回避です。

回避は、事前予防だけで対策します。

軽減

軽減は、リスクの発生確率を低くしたり、発生した際の影響を小さくする対策です。

例えば、前述した新製品採用のリスクに対して、事前にテスト(検証)を行い、不具合を確認するというのが、軽減です。

回避と異なるのは、リスクをゼロにはできないということです。 そのため、事前予防だけでなく、残っているがリスク発生した際の事後対策を考える必要があります。

転嫁

転嫁は、リスクを外部へ移転する対策です。

例えば、前述した新製品に採用のリスクに対して、専門家である外部業者へ該当する作業を委託し、自らはそのリスクを追わない様にするという対策です。

転嫁は、事前予防だけで対策できることもありますが、リスクのすべてを移転できない場合は、事後対策も必要になります。

受容

受容は、リスクに対して、対策をせずに受け入れるということです。

リスクの洗い出しが重要だと書きましたが、実は、リスクを洗い出した時点で、自動的に、この受容の対策が取られているのです。

受容は、事前予防では何もしませんので、リスクが発生した際の事後対策を考える必要があります。

ひとつのリスクを4つの戦略の組み合わせで対策する

ひとつのリスクに対して、1つの戦略で対策を考えれば良いとは限りません。

例えば、前述の新製品採用のリスクに対して、軽減を中心に対策を考えて、残るリスクについては受容するというように、軽減と受容を組み合わせて対策を決定します。

また、リスク対策したら、その対策から新たなリスクが発生することもあります。

例えば、新製品採用のリスクに対して、回避の戦略で、新製品採用を見送り、代替製品を採用することにした場合、代替製品では、必要な機能が不足するため、追加開発のコストや品質確保のリスクが新たに発生します。

このようなリスクを2次リスクと呼びますが、2次リスクについても、1次リスク同様に、4つの戦略を使って対策を考えます。

リスク対策を決定したら、アクションプランとして、各担当チームのWBSに作業を追加して、担当者を割り当て、日々の進捗管理を実施します。

最後に、前回までのリスク管理表に、4つの戦略によるリスク対策を追加した表をサンプルとして紹介します。